何日間も便が出なくて、お腹が張って苦しくなるなど、便秘で悩んでいる女性はとても大勢います。
また便秘と同じくらい多いのが、肩こりに悩む女性です。
いつも肩が痛かったり重かったりして、マッサージにいくら通っても解消できないというようなケースもあるでしょう。
この便秘と肩こりは女性の身体の不調のトップ1・2と言っても過言ではない程です。
この2つ、何の関係もないように見えて、実は深い関係があるのをご存じでしょうか。
こちらでは便秘と肩こりの意外な関係や、その改善方法などについて、詳しくご説明していきたいと思います。
肩こりについて
しかし肩こりと一言で言っても、その原因や症状は様々です。
肩こりとは
肩こりと言うのは、一般的に肩が重く張っているような感じがする症状のことです。
肩こりに関係している筋肉は「僧帽筋」というものです。
この僧帽筋は、別名肩こり筋とも言われており、頭と首が結合している部分から、首・両肩・背中にかけ、大きく広がっているひし形の筋肉です。
この僧帽筋が硬くなってしまうと、血管やリンパが圧迫されて疲労物質や老廃物がたまって、いわゆる肩こりを感じるようになります。
英語では僧帽筋の筋肉痛と表現されることもあるほど、肩こりと僧帽筋は密接な関係なのです。
ではなぜ僧帽筋が硬くなって肩こりは起きるのでしょうか?
主な肩こりの原因は
肩こりは身体の悩みの中で、女性第1位、男性第2位という厚生労働省が行った調査結果があります。
また4,500人ほどのモニターを対象に行ったインターネットでのアンケートによると、肩こりに悩んでいる人は3人に2人いるという結果が出ています。
その中でも特に30代から50代の女性は、実に8割の方が肩こりに悩んでいると答えています。
このように、日本人の多くが悩んでいる言わば国民病ともいえる肩こりには、様々な原因が考えられます。
詳しく見ていきますね。
生活習慣から来る肩こり
普段何気なくやっている行動が肩こりの原因となっているケースがあります。
- いつも同じ側の肩にカバンを掛けている
- 長時間同じ姿勢でいる事が多い
- 身体に合わない寝具を使っている
- 毎日重いアクセサリーを付けている
- 足を組む
- 姿勢が悪い
これらの生活習慣に心当たりがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
こういった生活習慣は、特定の筋肉のみに負担がかかり、背骨や骨盤に歪みが生じてしまいます。
そうすると首や肩の周辺の僧帽筋も緊張し、疲労を起こすので肩こりになってしまいます。
自律神経の乱れから来る肩こり
自律神経は内臓の働きをコントロールしたり、精神のバランスを取ったりしますが、その自律神経が乱れてしまうと、肩こりも感じやすくなります。
交感神経と副交感神経の2種類がある自律神経は、通常うまく入れ替わりながら心身のバランスを取ります。
しかし次のような事が原因となりバランスが乱れてしまうと、肩こりにもつながってしまうのです。
- ストレス
心身に過度なストレスがかかると、夜になっても副交感神経への切り替えがうまく行かず、リラックスする事が出来なくなります。
そうなると交感神経が常に優位となり、筋肉が緊張している状態が続いてしまい、肩こりの症状も現れます。
- 冷えや寒さ
身体が冷えて来ると、身体は体温を逃さないようにしようと毛細血管を収縮するため、全身に不自然な形で力が入ってしまいます。
この状態は交感神経を優位にすることにつながるため、僧帽筋も緊張し肩こりを生じます。
病気による肩こり
肩こりというと簡単に考えがちですが、時に病気が原因で起こっているケースもあります。
- 心筋梗塞や狭心症などの心疾患
- 胃腸や肝臓・胆のうなどの消化器疾患
- メニエール病などの耳の疾患
- 脳梗塞などの脳疾患
- 更年期障害などの神経系の疾患
この他にも歯の噛み合わせの悪さが、肩こりの原因となっている事もあります。
肩こり以外にも気になる症状があるような場合には、病院を受診するようにしましょう。
主な肩こりの症状は
代表的な症状を紹介していきます。
圧痛
圧痛と言うのは、身体の一部を圧迫すると感じる痛みの事です。
肩こりの場合でいうと、僧帽筋の部分を手でもんだり指で押したりした時に痛みを感じる事があります。
身体の奥のこり
僧帽筋の圧痛が長引くと、だんだんと痛みを感じる範囲が広がって行きます。
僧帽筋の下の肩甲挙筋や棘上筋などの深い部分の筋肉にもこりが拡大していくのです。
こうなると自分で揉んだりするだけでは肩こりは改善されなくなります。
首や背中の痛み
肩甲骨の付近や首の僧帽筋、またその奥にある深層筋が疲労して血流が悪くなると、肩だけではなく首や背中も痛くなります。
その他
首や背中の痛みが更に酷くなると、肩から腕や指先にしびれを感じるようになるケースもあります。
また肩や首の周辺の筋肉が緊張し血流が悪くなる事によって、酸素が十分脳にいきわたらず、そのために頭痛や吐き気を感じる事もあります。
便秘と肩こりの関係
この2つには実は共通点が色々あります。
便秘と肩こりの関係について考えてみましょう。
便秘による様々な症状
便秘による症状には主に次のようなものがあります。
- 胃腸の異常:お腹の張り・腹痛・ガスがたまる・食欲不振
- だるさ:老廃物や毒素が身体から排出されない事によるだるさや疲労感
- 肌荒れ:肌の新陳代謝の低下による肌荒れや吹き出物
- 痔:硬い便による切れ痔・いきみによるいぼ痔
- おならの異常:腸内環境が悪化し、おならが臭くなる
- 肩こりや腰痛:便秘で血行不良になり疲労物質がたまる事による肩こりや腰痛
- イライラや不快感:お腹が張って苦しい事から来るストレス
肩こりと便秘の関係
便秘によって肩こりが引き起こされる事があります。
血液の汚れによる血行不良
大腸で作られた便は、健康時であれば自然な便意とともに力をこめなくてもすっきりと排出できるものです。
しかし便秘になって腸に長い時間便が留まると、水分吸収され続け便はどんどん硬くなって行きます。
そうなると便は排出されづらくなり、さらに便が溜まっていくという悪循環になります。
こうして長時間腸にある便は、やがて腐敗を始めます。
そうなると身体に有害なガスを発生させるようになり、これが身体に様々な悪影響を与えるのです。
発生した有害なガスは、腸壁から吸収され血管に入りますので、血液が汚れ血行不良を引き起こします。
それと同時に血液の中の酸素や栄養素が筋肉に届きにくくなってしまうため、代謝が衰えて疲労物質や老廃物が溜まっていきます。
それによって肩こりを生じてさせてしまいます。
自律神経の乱れ
自立神経のバランスが崩れて、副交感神経が働かなくなることで内臓の動きも低下します。
腸の働きも弱まってしまうために便秘にもなりやすくなります。
便秘や肩こりに伴う症状
冷え性
何らかの理由で血行不良になってしまうと、血液が身体中にスムーズに運ばれなくなってしまって、身体が冷えてしまいます。
寒い冬の時期だけではなく、夏でも手足など身体の末端が冷えると悩んでいる方も多くいらっしゃいます。
頭痛
血行不良になると、血液がスムーズに流れないため、脳に行く血液量が減ります。
すると脳の血管は自動的にもっと血液を流そうとして拡張するのです。
それによって血管の周辺にある脳神経を圧迫して頭痛を感じやすくなります。
吐き気
便通が1週間以上もないような重度の便秘が続くようなケースでは、溜まった便が胃まで圧迫し吐き気を感じる事もあります。
また血行不良による肩こりが重症化すると、筋肉に老廃物が溜まって吐き気の原因となる事もあります。
便秘と肩こりに潜む病気
便秘も肩こりも多くの女性が悩んでいますが、ついつい軽く見られる傾向にあります。
先程は病気によって起こる肩こりをご紹介しましたが、こちらでは便秘に潜む病気についてご説明したいと思います。
大腸がん・直腸がん
改善策をとっても便秘が治らず腹痛が続いたり、血便が出るといった症状がある場合、大腸がんや直腸がんの可能性もあります。
腫瘍ができると腸の中が狭くなって便が出にくくなったり、逆に激しい下痢が起こったりという症状が出ます。
また腫瘍の部分を通過した便に血が混じったり、黒いタール便が出る事もあります。
子宮筋腫
生理がある女性の4人に1人はできていると言われる子宮筋腫は、良性のコブですが放置していると段々大きくなっていくことがあり、そうすると重い生理痛が起こったり貧血になったりする事もあります。
さらに筋腫がもっと大きくなると、まわりにある大腸や膀胱などを圧迫して、便秘や頻尿の症状が出てくる事も考えられます。
卵巣嚢腫
卵巣嚢腫はその名の通り卵巣に嚢腫ができる(悪性ではない腫瘍ができる)病気です。
卵巣嚢腫が大きくなると腹部の痛みや膨満感を感じやすくなります。
そして子宮筋腫同様、まわりの臓器を圧迫するようになり、便秘や頻尿に悩まされる事があります。
便秘による肩こりの解消法
便秘によって肩こりにも悩まされると、気分は常にすぐれずイライラしてしまう事もあると思います。
精神的にも不安定となり、それによって仕事に支障があるだけでなく、遊びなどのプライベートな時間も思う存分楽しむ事ができなくなってしまうような事もあるかもしれません。
便秘解消法
便秘を改善するためには、様々な角度から身体にアプローチする事が必要です。
ぜひ紹介する方法を取り入れ、頑固な便秘を改善してください。
便秘解消に効果がある食べ物
便は食べた物から作られます。
腸の中の環境を改善して、便秘を解消してくれる成分を含んだ物を意識して食べるようにしましょう。
- 食物繊維:便を柔らかくして出やすくする水溶性食物繊維と、便のカサを増やす不溶性食物繊維、両方をバランスよく摂るようにしましょう。
- 乳酸菌・発酵食品:腸内の善玉菌を増やし、腸の中の環境を整えてくれるので、積極的に摂取しましょう。
- オリゴ糖:砂糖よりも粒子が大きいオリゴ糖は、消化されにくく大腸まで届き善玉菌のエサとなります。料理や飲み物に砂糖代わりで使い、摂るようにしましょう。
水分補給
便秘の方の多くは水分が不足しているケースが多くなります。
朝起きた時にコップ一杯の水を飲むと、自然に便通が起こり便秘解消につながります。
また寝ている間に失われた水分の補給にも役立ちます。
ただし冷たい飲み物は身体を冷やして逆効果になりますので、常温か温かい飲み物を飲むようにして下さい。白湯などがおすすめです。
便秘の解消には、一日1.5Lから2Lほどの水分が必要だと言われています。
運動
大腸の周りの筋肉を刺激し、腸の働きを促す簡単な運動を紹介します。
ぜひ、実践してみて下さい。
- 腹筋強化:仰向けに寝た状態で、おへそのあたりに力を込めて両足を床から5cmほど上げます。そのままの状態を1分程度キープします。
- おしりの筋肉をほぐす体操:両膝を立てて座った状態で、後ろに両手をつきます。片方のおしりを上げて反対のおしりに重心をかけぐりぐりとほぐすようにします。左右行うようにします。
- ゴロゴロ体操:うつぶせで10分程寝た後に左右5回から10回程度ゴロゴロします。(寝返りの要領で)
この他にも、ウォーキングやサイクリング、ジョギングなども便秘解消効果が見込めます。
生活習慣
- 規則正しい食事:不規則な時間に食事をすると、排便のリズムも狂ってしまいます。規則正しい食生活を送り自然に便意が起こるようにしましょう。
- 朝食を食べる:朝ご飯を食べる事で、胃腸が動き始め便意が起きます。朝30分早く起きるようにして、朝ご飯を食べたら決まった時間にトイレに行くようにしましょう。
- 身体を動かす:なるべく身体を動かす習慣を付けましょう。仕事に行く時に一駅分を歩くようにしたり、駅では階段を使う、電車では座らないなど、小さなことでも腹筋が鍛えられ便秘の解消につながります。
- 寝不足を避ける:夜睡眠を取っている間には、副交感神経が優位になり内臓の働きも活発になります。その間に夜食べたものが腸の中で便になりますので、睡眠時間が足りないとうまく便が作られない事になっていまいます。
- 湯船に入る:お風呂でゆっくり身体を温める事も大変有効です。便秘の人は身体が冷えている事も多い為シャワーだけでなく、湯船でしっかり温まりましょう。お風呂に入れば気持ちがリラックスして副交感神経が働きますので、胃腸の働きも活発になります。またお腹に水圧がかかることによるマッサージ効果も期待できます。
- ストレスをためない:過度にストレスがかかると胃腸の働きはすぐに低下してしまいます。ストレスによって副交感神経が弱まってしまうと、それに司られている胃腸は影響を受けて、働きが弱まってしまうのです。
冷え性や血行不良の改善
便秘でお腹が苦しくなってくると、市販の便秘薬を服用する事で便秘を解消しようと考える方もいらっしゃるでしょう。
しかし市販の便秘薬を常用することによって、便秘がさらに悪化してしまう事があります。
その理由は次の通りです。
- 便秘薬によって腸を刺激する事で、本来の腸の働きが弱まってしまう
- 便秘薬の使用に腸が慣れてしまって便秘薬を飲まないと出なくなってしまう
- 便秘薬を使って便を出すと必要な善玉菌まで一緒に排出してしまう
- 便秘や肩こりの原因となる冷え性や血行不良の根本的な解決にはならない
やってはいけない事や注意点
脂肪が多い肉ばかりを食べる
脂肪分が多い肉は、消化するのに約12時間かかると言われます。そうすると腸に余計な負担がかかってしまうので、肉ばかりを食べないようにしましょう。
肉を選ぶ際にも、脂分が多くない赤みの肉を選ぶようにし、その時には野菜も一緒に食べましょう。
タンニンの多い食材を多く摂る
タンニンは腸に膜を作る作用があります。腸に膜が出来ると腸の働きが低下して便秘になりやすくなります。
お茶やコーヒー・ワイン・渋柿などがタンニンの多い食材です。
甘い物を多く食べる
ケーキやお菓子などの甘い物には、当然糖分が沢山含まれています。糖分は腸内の悪玉菌の大好物です。ですから甘い物ばかりを食べていると腸の中では悪玉菌がどんどん増え、便秘になりやすくなります。
食物繊維のバランスが悪い
食物繊維の中で不溶性食物繊維を沢山摂取すると、便の水分を吸収し逆に便を硬くしてしまいます。
1対2のバランスになるように、水溶性と不溶性の食物繊維を摂りましょう。
便秘と肩こりに関するよくある質問
なぜ肩こりは女性の方が多いのですか?
身体の熱というのは筋肉で作られるため、女性の方が冷え性になりやすく肩こりにも悩まされることが多くなります。
食生活を改善したいのですがコンビニ食でおすすめはありますか?
また野菜が沢山入っているスープや無糖のヨーグルトもおすすめです。
便秘や肩こりにいい入浴法はありますか?
首には自律神経のセンサーとなる箇所があります。
そこを温めれば副交感神経が優位になり血流もアップし、内臓の働きも活発になります。
全身浴を5分間ほどしたら一度上がって身体を洗っている間にお湯を減らし、その後10分程半身浴をすると良いでしょう。
その時には肩や背中が冷えないように、タオルなどで覆うようにしましょう。
便秘薬を使っていたらだんだん効き目が弱くなってきたように感じますがそういうことはありますか?
服用する量を増やしても大丈夫ですか?
即効性はあると言えますが、便秘になりやすい体質を改善しているわけではないので、根本的な解決になっていません。
また服用を続けていると腸がだんだんと刺激に慣れて、便秘薬が効かなくなってきてしまう事もあります。
そうすると薬の量を増やしたり、より強い薬を使うようになってしまい、薬に依存するようになります。
便秘薬で効果が出なくなってきたと感じた時には、一度服用を中止しましょう。
まずは腸の働きを正常化して、自然に排便できるような対策が必要でしょう。
先程ご紹介した便秘の解消法を試してみてください。
ストレッチが苦手なのですが、他に便秘や肩こりに効く運動はありますか?
ウォーキングや軽いジョギングなど、1日に30分やるだけで血流は促進され、腹筋も鍛えられます。
同時に自律神経も整いますので、便秘にも肩こりにも効果的です。
おわりに
女性に多い便秘と肩こりが実は深い関係があったという事をご理解いただけましたか。
便秘になると肩こりや冷え性・頭痛など様々な症状が引き起こされます。
たかが便秘だと軽視していると、全身どこに不調が現れるかわかりません。
日常生活を見直し、便秘や肩こりを改善できる生活習慣を心掛けて下さい。
便秘が酷いような場合でも、市販の便秘薬を常用するような事は避け、できるだけ便秘にならないような体質に改善していきましょう。