便秘で苦しんだ後、解消したと思ったら、今度は軟便になってしまったというようなお悩みを聞くことがあります。
便秘だと便は硬くなるようなイメージがありますが、実は便秘と軟便を繰り返すというようなことはそれほど珍しいことではありません。
このように便秘と軟便を繰り返すことがあるんですが、どうしてですか?
便秘と軟便を繰り返す理由と、その解消法についてご紹介したいと思います。
便秘と軟便についての基礎知識
こちらでは便秘と軟便についての基礎知識を解説いたします。
便秘とは
便秘とは規則的に便が排出されない状態の事を言います。
私達人間は毎日食べ物を摂取しています。
その食べ物は胃で消化され、それが腸に運ばれ栄養や水分を吸収します。
後に残ったカスは、体内から出た老廃物と混ざって便となります。
できた便は、毎日排泄されるのが本来の姿です。
しかし1日おきであっても、規則的に排出されていれば便秘とは言わず、逆に毎日出ていても量が少ない場合や、残便感があるような場合には便秘と言います。
軟便とは
健康的な便には、適度な硬さと長さがあります。
そして便意が感じられれば、その後スムーズに排出されます。
便の中の水分が少ないと硬く小さな便になり、逆に水分が多すぎると便は形を保てなくなります。
軟便と言うのは、下痢のような水状までは行きませんが、水分がかなり多い柔らかい便であり、健康的な便とは言えない状態です。
軟便が出る理由
・腸内環境の悪化
・食べ物の不足と水分の摂り過ぎ
・抗生物質の影響
・病気
腸内環境の悪化
腸の中の環境が悪化してしまっているような時には、腸が1度腸内をキレイにするために、腸の中の老廃物を全て出し切ろうとして軟便になる事があります。
普通の便が何度か出て、その後軟便が出るような場合には、腸内環境を腸がリセットしている可能性があります。
食べ物の不足と水分の摂り過ぎ
便が形成されるには、ある程度の食べ物のカスが必要になります。
ダイエットなどを行い、食事の量を控えている場合、便を作るのに足りるだけの食べ物のカスが腸まで届きません。
またおかゆやスムージーなどの水分が多い食事を続けていると、軟便が出やすくなってしまいます。
抗生物質の影響
何らかの病気で抗生物質を飲むと、腸の中の細菌が影響を受け、軟便や下痢になることがあります。
病気
ウィルス性の腸炎や食中毒で軟便が出る事があります。
また過敏性腸症候群でも軟便が出やすくなります。
便秘と軟便の関係
軟便が出て水分が不足し便秘になる
軟便で体内の水分も一緒に排出されてしまうと、身体の中では水分が不足してしまいます。
そうすると今度は便に水分が不足し硬い便になり、便秘になりやすくなります。
腸内環境の悪化
便秘の時は腸内の環境が悪化しています。
すると腸の中に増えすぎている悪玉菌を便と一緒に排出しようとする働きが起きます。
この際強い便意が起こり、軟便が出る事があります。
このように便秘の後に軟便が出たというような場合、腸が自ら腸内環境を整えようと働いているのかもしれません。
水分が多い食事の摂り過ぎ
便秘を解消するためには、水分を多く摂る事も必要ですが、だからと言って水分が多すぎる食事ばかりを摂っていると、今度は軟便になってしまいます。
ダイエット中などで、おかゆやスムージーなどばかり食べていると、食べ物の量が少ない上に水分が多すぎるので、便秘と軟便の両方になりやすいと言えます。
腸の蠕動運動の乱れ
腸が便を排出させようとする動きが蠕動運動です。
蠕動運動により食べ物は小腸から大腸に運ばれ便になり、やがて排出されます。
この蠕動運動の働きが乱れると、便秘になったり下痢や軟便になります。
腸の動きは自律神経が司っているので、自律神経が乱れれば蠕動運動も乱れ、便秘と軟便が繰り返されるという事もあります。
病気
クローン病や過敏性腸症候群になると、便秘と軟便が交互に起こると言うような場合もあります。
クローン病は、現在のところ治癒が難しいとされている疾患です。
腹痛や下痢、腸に潰瘍ができるなどの症状が現れます。
過敏性腸症候群は、ストレスが原因と言われており、腸に潰瘍などの病変は見られないため、逆に原因がわからず長く苦しむ方もいらっしゃいます。
便秘と下痢や軟便を繰り返すという状態が続くようであれば、一度医療機関を受診してください。
便秘薬の使い過ぎ
便秘で苦しい時に便秘薬を使えば、すぐに解消する即効性があるため助かります。
しかし決められた用法や用量を守らずに便秘薬を使い続けると、軟便になってしまいます。
便秘薬の効果の出方には個人差がありますので、正しく使っていても軟便や下痢になってしまう事もあります。自分に合った便秘薬をどうしても必要な時のみに服用するということが大切です。
便秘の後に軟便が出る症状の解消法
食事量を増やす
ダイエットなどで食事量を減らし、便秘の後に軟便が出るようになったようなケースでは、まず水分を多く摂り過ぎないように気を付けて、食事の量も増やすようにしてみましょう。
油脂の摂り過ぎにならないようにする
油脂類は摂り過ぎると軟便になる事があります。
便秘の解消には適量の油脂が必要ではありますが、摂り過ぎには注意して下さい。
腸内の善玉菌を増やす
ヨーグルト・納豆・ぬか漬け・キムチ等、乳酸菌を多く含む発酵食品を食べる事で、腸の中の善玉菌を増加させることが期待できます。
またその時にオリゴ糖を一緒に食べると、さらに効果的です。
オリゴ糖は乳酸菌のエサになるからです。
腸内環境を改善するのは一朝一夕にはいかず時間が掛かりますが、根気強く善玉菌を増やすような食品を食べ続ければ、便秘も解消され軟便も出にくくなります。
不溶性食物繊維を摂取する
イモ類や野菜に多く含まれる水に溶けない食物繊維を、不溶性食物繊維と言います。
食事量を増やせないという方は、不溶性食物繊維を水分と一緒に摂ると、身体の中で水分を吸収し膨らみ、しっかりした便を形成してくれます。
適度な運動やストレス解消
ストレスによって自律神経が乱れると、腸の蠕動運動も弱まってしまいます。
また過敏性腸症候群の原因もストレスであると言われています。
適度な運動をしたり、趣味の時間を作るなどして、なるべくストレスを解消するように心掛けましょう。
運動をすれば腹筋が鍛えられ、蠕動運動が正常化しやすくもなります。
ただしストレス解消に暴飲暴食すると、胃腸に負担がかかるので逆効果です。
毎日決まった時間にトイレに行くようにする
毎日、特に朝の決まった時間にトイレに行くようにすると、便秘になりにくくなります。
そのためには、いつもより少しだけ早く寝て早く起きる習慣を付けるといいでしょう。
規則正しい生活習慣は便秘を改善するのに大切なことです。
下痢止めを安易に飲まない
軟便が続いているとトイレに行く回数も増え、トイレに行けない時に行きたくなったらどうしようと不安になることから、下痢止めを使いたいと考える方もいるでしょう。
しかし便秘と軟便を繰り返しているような時に、下痢止めを使ってしまうと、逆に症状が悪化してしまうケースもあります。
薬を飲みたいと思う場合には、まず医師の診察を受けて、薬を処方してもらうようにしましょう。
便秘の後に軟便が出る症状についてよくある質問
参考にして下さい。
硬水を飲むと軟便になりやすくなりますか?
ちなみにマグネシウムイオンやカルシウムイオンは便秘薬に使われるケースもあります。
軟便が続くとどんな悪影響がありますか?
体重減少や肌荒れなどが起こる可能性があります。
子供でも便秘の後に軟便が出ることはありますか?
また思春期になると、ストレスも増えてそのせいで便秘と軟便を繰り返してしまう事もあります。
気になるようでしたら早めに医師に診てもらうようにしましょう。
病院に行く目安は何ですか?
軟便の基準とは?
最後に
今回便秘と軟便を繰り返す原因や解消法についてご説明してきましたがいかがでしたか?
便秘と軟便を繰り返すと腸の中の環境も悪化しがちですので、できるだけ早い対処が必要です。
長く続くような場合には、早めに医療機関を受診することが大切になります。
便の状態は自分の身体の健康状態のバロメーターとも言えるでしょう。