お腹や腸が痛いような気がするという状態が続いている方はいませんか?
そんな症状がある時には、一番は病院へ行く事ですが、毎日が忙しくて病院へ行く時間がなかなか取れないという方も多いと思います。
何か重大な病気の可能性はあるんでしょうか?
こちらでは腸のメカニズムや、お腹や腸が痛くなる原因として考えられるものについて、詳しく解説したいと思います。
当てはまっているかもしれませんので、参考にして下さい。
腸のメカニズム
腸とはどのような器官なのか
- 生きていくためのエネルギーを作るため、口から摂取した食べ物から栄養素を吸収する。
- セロトニンという神経伝達物質を作る
- 免疫機能があり、侵入してきた細菌やウィルスを撃退する
- 身体に不要なものを排出する
大腸と小腸の働き
この2つが具体的にどのような働きをしているのか見て行きましょう。
口から摂取した食べ物から栄養分を吸収すると言った部分については、大腸も小腸も同じです。
ただし小腸は、消化の作業も行います。
胃から小腸になる部分にある十二指腸では、胆のうから出される胆汁によって、胃で消化された食べ物を、さらに細かく消化するのです。
一方の大腸は、小腸で吸収されきれなかった水分などを吸収します。そして便を作り出し、排出させる働きを担っています。
腸が痛むメカニズム
お腹の中で腸が痛むと感じる時、どのようなメカニズムで痛みが出ているのでしょうか。
一般的に腸が痛くなる時というのは、腸が激しく動いている時です。
その激しく動く原因には次のようなものが考えられます。
- 食べ過ぎまたは早食い
- 寝る直前の食事
- 腐敗したものを誤って食べた
- キノコや貝などで起こる食中毒
- ウィルスによる食中毒
- お腹の冷え
- アルコールの過剰摂取
- 冷たい食べ物や飲み物の過剰摂取
すると腸の筋肉が収縮して、その時血管も同時に収縮します。
その結果腸の血流は低下し酸欠状態になり、そのせいで腸の中で痛みを起こす物質が発生して、知覚神経を刺激し痛みを感じます。
腸の痛みと便秘の関係
便秘の時に腸が痛いように感じます。
- 腸の中に便やガスがたまり、他の臓器を圧迫している
- 腸がねじれている
- 腸の中にポリープができたり、大腸がんがある
便秘になっている状態では、腸の中に長い時間、便が溜まっています。
すると便が腐敗して身体に有害なガスを発生させるのです。このガスが増えると腸の中がそれによって圧迫し痛みを感じる上に、さらに他の臓器も圧迫して痛みが出てしまうのです。
この有害なガスは腸の中で悪玉菌を増加させてしまうので、腸内の環境は益々悪くなります。
そのままにしていると便秘やお腹の張りや痛みを、常に感じるようになってしまう可能性もあります。
また何らかの原因で腸がねじれた時にも、便秘になり痛みも起こります。
腸がねじれると便の通りが悪くなり、酷い場合には便が出なくなってしまう事も考えられます。
そうなるとお腹は激しく痛み、吐き気を伴うようになります。
そして最も怖いのは腸内にできるポリープやがんです。
初期の段階ではほとんど自覚症状はないと言われています。
ポリープは基本的に良性ですが、それでも大きくなると便の通りは悪くなり、そこから出血することもあります。
大腸がんは進行すると便に血液が混じったり粘液便が出て、お腹の痛みや張りも感じることが多くなります。
怖いですね。
早期発見のためには、定期的に健康診断を受けるようにしましょう。
腸が痛い時の病気の可能性
お腹のどの部分が痛むのか
お腹が痛いと一言で言っても、痛む場所は色々あり、どの部分が痛むのかによって、その原因も変わってきます。
- みぞおち付近
- お腹の右上あたり
- お腹の右下
- お腹の左上あたり
- お腹の左下
- 下腹部
- おへその周り
痛みの種類
お腹の痛みにも、何種類かあります。
代表的な痛みとしては、チクチクした痛みやキリキリした痛みが、断続的に続くものです。
このような痛みは内臓から来る痛みであることが多いようです。
食あたり・暴飲暴食・ストレスなどが原因となっている事もあります。
その内臓痛に比べて、はるかに痛みの強いのが体性痛です。
30分程度突き刺すような痛みが続くケースもあります。
身体を動かすと痛みが増すことが多いようです。
もうひとつは関連痛です。
原因が腸であっても、あまりに痛みが強いと腹部以外にも痛みが広がってしまいます。
どんな病気の可能性があるか
お腹が痛い時に考えられる病気には、次のようなものがあります。
便秘
便秘が長く続いているような状態だと、長く留まった便が腐敗する事によって、腸の中に身体に有害な発生します。
そのガスは腸を膨張されますので、それによって他の器官が圧迫され痛みを感じます。
基本的に便秘の原因は、食生活や生活習慣の乱れによって起こりますので、一度それらを見直す必要があります。
また便秘の状態が続くと、腸の中ではどんどん悪玉菌が増えていくので、改善のために善玉菌を増やすような食材を積極的に食べたり、サプリメントを摂取したりすると良いと思います。
腸炎
ストレスやウィルスなどが原因となって、腸の中に炎症が起こる病気です。
腸が痛くなるのと共に、下痢や下腹部の膨満感を感じるような場合には注意が必要です。
小腸に炎症が起きている場合にはおへその周辺が痛み、大腸に炎症が起きている時は下腹部に刺すような痛みを感じる事が多くなります。
虫垂炎
虫垂炎は盲腸炎と言われていた病気です。
大腸には虫垂といわれる部分があり、そこに炎症が起きると虫垂炎になります。
初期の段階ではおへその周りやみぞおちが痛み、時間の経過とともにお腹の右下が激しく痛むようになります。
そのまま放置すると腹膜炎になり、お腹全体が痛くなってきます。
時に命にもかかることになりかねないので、早急に医療機関にかかる事が必要です。
胃炎・胃潰瘍
みぞおちのあたりに痛みが続く場合には、胃に異常が生じている可能性もあります。
みぞおちがチクチク痛んだり、胃もたれや吐き気、さらに悪化すると吐血や下血も考えられます。
みぞおちあたりに痛みが続くような場合には、早めに消化器内科などを受診しましょう。
胆石症
胆石症と言うのは、胆のうに起きる病気です。
肝臓で作られた胆汁を蓄えているのが胆のうです。
その胆汁を必要な場合に十二指腸や小腸に送って、食べ物の消化を助けます。
この胆汁の通り道が何らかの原因でつまると、耐えられないほどの激痛が起こります。
胆石ができてしまう原因として考えられるのは、脂質の多い食事やアルコールの過剰摂取、またはストレスなどです。
重症になると命に関わるため、早めの受診が必要です。
過敏性腸症候群
ストレス社会と言われる近年の日本では、仕事や学業、職場やプライベートの人間関係、家族内の関係など、様々な場面で大きなストレスを感じている人がいます。
キリキリとした腹痛が続く、または便秘や下痢などを繰り返すといった症状がある方は過敏性腸症候群の可能性があります。
腸の痛みを放置したらどうなるか
腸の痛みは、お腹を冷やしてしまったり、食べ過ぎたり飲み過ぎてしまったりなどにより、誰にでも比較的簡単に起こるものです。
またストレスによって便秘や下痢になっているという事もあるかもしれません。
これらは一時的であれば、さほど心配をする必要はありません。
しかし慢性的に続いていたり、嘔吐や吐血・下血などを伴う場合には、何らかの病気が隠れている可能性がありますので、早急に病院を受診しましょう。
これらを放置すると症状がどんどん進み、最終的には命に関わるような事にもなり兼ねません。
いつもの痛みと違うと感じたり、腹痛以外の症状もあるというような時には、迷わず病院に行って下さい。
腸が痛い時の治療
このような症状の時にはすぐに病院へ
- 突然腹部に激痛が起こった
- 床を転がりまわるような腹痛がある
- 痛みが強すぎてショック状態になる
腹痛と併発しやすい症状
症状によっては早急に受診の必要がありますので確認してみて下さい。
- 強い吐き気・冷や汗
- 高熱
- 顔面蒼白
- 嘔吐物から異臭
- 意識が朦朧
- 下血や吐血
腹痛とこれらの症状が併発しているような場合には、すぐに病院へ行き、適切な治療を受けて下さい。
診断方法
お腹が痛くて病院へ行った場合、どのような診察方法で診断されるのでしょうか。
基本的には問診の後、採血や尿検査、便検査、レントゲンなどで検査が行われます。
これらで原因が特定できない場合には、超音波やCT・MRIなどで検査をします。
吐血や血便が出ているようなケースでは、胃や腸を内視鏡を使って検査する可能性が高くなります。
治療法
病院で検査し病気と診断された場合には、その結果に基づいた治療が行われる事になります。
軽度であれば投薬治療で様子を見るものもありますが、悪化した状態ですと入院や手術になる事も考えられます。
大事に至らないためにも、おかしいと思った時には早めに病院を受診しましょう。
自分でできる対処法や応急措置
腸が痛いときは温めるのか冷やすのか
基本的に、お腹が痛くなった時は温めるのがいいと考えられています。
軽い腹痛であれば、胃や腸が緊張して痛みを感じている事もあるので、温めることで緊張を摂れば、痛みも治まる可能性があります。
ただし全ての腹痛に対して、温めた方が良いのかと言うと、そうではありません。
虫垂炎や胃腸炎の時には、冷やす方が良いと言われています。
この場合、冷やす事は一時的な応急措置でしかないので、速やかに病院に行く事が必要になります。
鎮痛剤で治まる場合
お腹が痛い時、鎮痛剤を服用する方も多いと思います。
どうしても安静にしたりする事が難しい状況の場合は、一時的に鎮痛剤でしのぐのも選択肢のひとつです。
しかしそれはお腹の痛みを根本的に治してくれるものではありません。
腹痛が続く場合には、必ず病院で原因を究明して、適切な治療を受けましょう。
便秘を併発している場合
お腹が痛くなると同時に、便秘を併発する事もあると思います。
お腹が張って苦しい事もあるでしょう。
便秘になり腸の中に長い時間便が溜まる事で、人体に有害なガスが発生します。
このガスは腸壁から吸収されて血液と共に全身をめぐり、肌トラブルやだるさ・イライラなどを起こすこともあります。
便秘は早急に解消した方がいいのはもちろんですが、下剤や浣腸で強制的に排出させるのは、あまりおすすめはできません。
どうしても出ない時に一時的に使うのはやむを得ないとしても、常用していると下剤や浣腸なしでは排便できない身体になってしまいます。
便秘になっているという事は、そもそも腸の中の環境が悪化しているという事です。
まずはそれを改善することから始めましょう。
また適度な運動も必要です。
腸の痛みにおすすめのツボ
気海
おへそから、指2本分程度下のところにあるツボです。
ここを刺激することによって、下痢や腹痛に効果が期待できます。
指2本を使って、優しく押してください。強く押し過ぎると逆効果です。
合谷
手の甲側の親指と人差し指の骨がぶつかるところにあるツボです。
お腹の痛みだけではなく、身体全体の不調に有効なツボになります。
このツボを反対の手の親指と人差し指で挟むようにして刺激してみてください。
腸が痛い時の食事
お腹が痛い時に、食欲が無くなることもあると思いますが、何も食べないのは身体に良くありません。
ヨーグルト
ヨーグルトも消化しやすく、胃腸の負担になりにくい食べ物です。
さらに腸の中の善玉菌を増やす役割もあるので、便秘や下痢などの時には最適です。
りんご
お腹が痛い時にいいと言われている果物はりんごです。
ミキサーなどで柔らかく液状にすると食べやすいでしょう。
おかゆ
胃腸に負担を掛けないためにも、消化しやすいおかゆは腸が痛い時に向いている食べ物です。
ただし熱すぎるおかゆは、かえって胃粘膜を傷付けますので気をつけてください。
納豆
お腹が痛い時、納豆もおすすめの食べ物です。
納豆のネバネバが胃腸の粘膜を保護してくれます。
固形物が食べられる状態であれば、試してみて下さい。
妊娠中の方や子供の腹痛
妊娠中の方の腹痛
妊娠初期の段階ではつわりに悩まされていた方も、妊娠4か月を過ぎると徐々に落ち着いてくる傾向になる事が多いようです。
その一方で今度は下痢や便秘に悩む事が多くなってきます。
妊婦の方は様々な要因で便秘になりやすい状態ですが、さらに妊娠中は自分が考えている以上に、ストレスがかかっている事があります。
そのため自律神経が乱れて、便秘や下痢になってしまう事も多いのです。
便秘や下痢でお腹が痛くなっている場合には、水分補給や身体を冷やさない事を心掛けながら、安静に過ごすようにして下さい。
ただし腹痛とともに出血などがある場合には、至急病院を受診して下さい。
子供の腹痛
子供がお腹が痛いという時の、一番の原因は便秘です。
下痢や発熱がなく、お腹の左下を押すと張っていたり、数日間便が出ていないというような場合には、便秘の可能性が高くなります。
また、免疫力が大人に比べて低い子供は、ウィルス性の胃腸炎などにもかかりやすくなります。
腹痛だけでなく、嘔吐や下痢、発熱などを起こしている時には病院を受診してください。
食中毒の可能性もあります。その場合もウィルス性の胃腸炎と同じような症状が出るので、早めに小児科を受診しましょう。
自分で対処する時の注意点
お腹が痛くても、少し経てば治るだろうと軽く考える方は多いと思います。
確かに一時的な腹痛はそれほど珍しい事ではなく、時間が少し経てば気にならなくなる事も多いかもしれません。
でも中にはその腹痛に、思いがけない病気が隠れているという可能性もあります。
自分で対処しても症状が治まらない時や、頻繁にお腹が痛くなるというような時には、放置せずに早めに医療機関を受診するようにして下さい。
腸の痛みに関するよくある質問
お腹が張っている時の対処法はありますか?
またおへその下のあたりを、やさしくのの字にマッサージするのもよいでしょう。
お腹が温まり、蠕動運動も促進されてお腹の張りが解消される効果が期待できます。
ひどい便秘ですが毎日下剤を飲むのはダメですか?
いつも下剤を飲む事で排便していると、そのうち下剤がないと便が出せないようになってしまいます。
下剤はどうしても辛い時だけ使用するようにして、まずは便秘にならないような生活を心掛けましょう。
下剤に頼らないで腹痛や便秘を改善するのはどうしたらいいですか?
重篤な病気な訳ではなく、便秘や腹痛が続いているようなケースは、ほとんどの場合腸の中の環境が悪化している事が原因です。
乳酸菌や食物繊維を含む食材を意識して多く摂取し、時にはサプリメントなども活用しながら、腸の中の環境の改善に努めましょう。
腹痛が起きにくくする方法はありますか?
身体全体が温まり、お腹も冷えにくくなるでしょう。
また入浴はシャワーだけでなく、ゆっくり湯船につかる習慣をつける事もおすすめです。
検査しても異常がない場合の腹痛の原因は何でしょう?
お腹が痛いのが続いたり、便秘や下痢が長期化したら心配になって受診する方が多いでしょう。
しかし検査結果に異常がないというケースもあると思います。
そういった場合の原因は、ストレスである可能性が高くなります。
どこかに過度なストレスが掛かっていないか、自分の生活を振り返り、ストレスを解消するように努めてみて下さい。
まとめ
腸についての基本的な知識から始まり、お腹が痛い時の対処法、それにその時考えられる病気などについて解説してきましたが、いかがだったでしょうか?
お腹が痛いというのはあまり珍しい事でもないため、ついつい放置しがちになりますが、中には重篤な病気が隠れている可能性もあるので、注意が必要です。
気になる事がある場合には、後回しにせずになるべく早く医療機関を受診するようにしましょう。