しばらくの間お通じがない、またはお腹が張っているなど症状があっても、それが便秘なのかどうかハッキリしないと思う方もいらっしゃるかもしれません。
一体何日間お通じがないと便秘と言うのか、どんな状態になったら便秘なのか、迷う方もいるでしょう。
排便の回数や量というものは大変個人差が大きく、いつからが便秘というようなハッキリとした定義づけは難しいと言えます。
それぞれの学会が、どのような状態になったら便秘と言うのか定義しているものを紹介し、解説していきますね。
各学会の便秘の定義
下記は「日本内科学会」と「日本消化器学会」の便秘の定義についてです。
学会 | 便秘の定義 |
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日本内科学会 | 3日間以上排便がない状態 |
毎日、排便があったとしても残便感がある状態 | |
日本消化器病学会 | 排便困難、腹部膨満感等の症状を伴う便通異常 |
このように日本内科学会の定義によれば、3日以上排便がなければ便秘となっているので、比較的わかりやすいです。
一方の日本消化器病学会の定義の、排便困難や腹部膨満感というのは、主観的な部分が大きくハッキリとしない感じがします。
国内ではこのような定義になっていますが、海外ではどのような定義になっているのでしょうか。
RomeⅢは、消化器障害の国際的診断基準として広く用いられているものですが、そこでは機能性の便秘を次のように定義づけしています。
尚、便秘は急性の便秘と慢性便秘に分別することができます。
そして慢性便秘の中でも一番頻度が多いとされているのが、機能性の便秘であり、それは腸などに器質的な問題がある訳ではなく便秘になっている状態を言います。
RomeⅢ機能性便秘の定義 | |
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右記の2項目以上の症状が当てはまる時 | ・排便のうち25%以上の割合でいきみがある |
・排便のうち25%以上の割合で兎糞状または硬便がある | |
・排便のうち25%以上の割合で残便がある | |
・排便の25%以上の割合で直腸肛門が詰まった感じ、閉塞感がある | |
・排便の25%以上の割合で排便の介助をしている | |
・排便の回数が1週間で3回未満 | |
緩下剤を使わない限り、軟便や液状便になることはほとんどない | |
過敏性腸症候群の診断基準を満たしていない |
RomeⅢ過敏性腸症候群の定義 | |
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過去3ヶ月間に月に3日以上繰り返し腹痛が起こったり、腹部に不快感(痛みというよりは不快な感覚)があることと、右記の2項目以上の症状が当てはまる時 | ・排便をすることで症状が良くなる |
・発症時は排便の頻度に変化がある | |
・発症時は便の形、見た目に変化がある |
以上のように、便秘の定義はそれぞれ異なっているのですが、近年日本においても国際的な基準を用いるケースが多くなり、そのため便秘においてもRomeⅢの基準が使われる事が多くなっています。
いつから便秘と言うのかという疑問に関しては、3日以上排便がない場合や、週に3日以下の排便回数である場合と捉えておけばいいと思います。
いつからかよりも、不快感の有無が重要
もし上記の定義に当てはまらないとしても、便が出にくくてお腹が張っていたり、出した後もスッキリしないといったような症状を自分で感じているならば、それは便秘と捉えてよいと思います。
快食・快眠・快便が健康には大切な要素だと言われますが、そのうち快便の部分が乱れると、食欲もなくなり快食できなくなる、そして自律神経の乱れから快眠までもできなくなるというように、全てに影響が出て来る事になってしまいます。
また便秘になって腸の中に長い時間老廃物が停滞すると、腸の中で毒素が発生し、それが腸壁から吸収されて身体中をめぐる事になります。
そうすると身体はその毒素を処理するために、余計なエネルギーを使う事となってしまい、疲労し本来すべき働きができなくなってしまう事もあります。
「快便」は健康のバロメーターと言えるという訳です。
ですから出ているか出ていないかという事ばかりにとらわれずに、お腹の具合はどうか、不快感があるかないか、という視点でみてみるようにしましょう。
例えば食物繊維や発酵食品を多く摂取するという事や、早寝早起きや軽い運動を心掛けるなどです。
便秘の陰に大きな病気が隠れている可能性もありますので、一度安心のためにも診てもらってください。
まとめ
いつから便秘と言うのか、どのような状態を便秘と言うのか、という事について国内外の学会の定義をご紹介しました。
何日間出ていないという事を過度に気にする事よりも、まずは自分のお腹の状態について把握するようにして下さい。
たとえ毎日出ていなくても、お腹に不快な感覚がないのであれば、それほど問題視する必要はありません。
逆に毎日出ていたとしても、お腹に張りを感じたりスッキリしない感覚が続くようであれば、それは便秘と言えるでしょう。
腸は便を出す以前に、栄養を吸収する大切な器官ですので、腸をいたわり健康的な身体を目指しましょう。