便秘で腹痛があってお悩みの方は多いと思いますが、その上さらにお腹にガスが溜まって苦しいとお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
それはもしかしたら「ガス溜まり」という症状かもしれません。
ガス溜まりになるとどうなりますか?
人が1日に排出するガスの量は、概ね360ml程度と言われています。
それほどの量のガスが排出されずに腸の中に留まっていれば、何らかの悪影響があるのは当然とも言えるでしょう。
このガス溜まりを改善すれば、腹痛がなくなるだけではなく、お腹のまわりもスッキリとしてきます。
ガス溜まりでお悩みでしたら、ぜひご覧下さい。
お腹のガスの正体
その正体を探ってみましょう。
お腹にガスが溜まるメカニズムとは
お腹に溜まるガスは排出されれば、いわゆるおならになります。
おならというと腸の中で悪玉菌が作った有害なガスではないかと思う方が多いかもしれませんが、実際には食事や会話の時に口から飲み込んだ空気も含まれています。
腸内細菌が作るガスは通常であれば、蠕動運動によって便とともに押し出されて排出されます。
しかし胃腸の働きが低下してしまっているような場合には、そのガスが排出されずに腸の中に留まってしまいます。
その時はガスだけでなく便も排出されにくくなっているので、その便が腐敗してさらにガスが発生します。
そうしてお腹にガスがどんどん溜まっていく事となるのです。
お腹にガスが溜まって苦しくなる事を、一般的に腹部膨満感と言います。
ガスが溜まりやすい人とは
腸にガスが溜まってしまいやすい人というのがいます。
実はお腹に溜まるガスの30%は腸内の細菌が作り出すガスですが、残りの70%は口から飲み込んだ空気なのです。
- 食べるのが早い人
- ガムをよくかむ人
- おしゃべり好きな人
- いつも複数人でおしゃべりしながら食事をする人
このような方は、普段から多く空気を飲み込んでいる可能性が高いと思われます。
特に食事中におしゃべりを多くする人は、通常よりもガスが溜まりやすいでしょう。
他に溜まりやすい人の特徴はありますか?
学校や職場ではトイレに行きたくなったからと言って、すぐに行けるとは限らないのは確かですが、それでもトイレをいつも我慢していると、腸の働きが弱まり便秘になりやすくなり、そうなると腸の環境が悪化して、ガスが溜まってしまう原因になります。
便秘との関係
腸にガスが溜まる原因として、一番直結していると思われるのが便秘です。
便秘で下腹部が出ているという方も多いですが、実はそのポッコリは便だけではありません。
実際便はそれほどの量があるわけではないのです。
便秘になって腸に溜まった便が腐敗して発生した、身体に有害なガスが腸を膨らませています。
ガス溜まりって何?
腸の中にガスが異常に溜まってしまっている状態を「ガス溜まり」と言います。
下腹部の周辺でポコポコといった音や動きを感じる場合、ガス溜まりである可能性が高いでしょう。
ガスによって膨らんだ腸がまわりの筋肉を圧迫し、その筋肉が緊張して小刻みに痙攣している状態です。
お腹のガスが増える原因
生産と排出のバランスが崩れる
食事を摂れば必ず腸の中ではガスができます。
本来であればそれらのガスはおならやげっぷなどの形で、定期的に排出されます。
しかしガスが多く作られてしまった場合や、機能が弱まってうまく定期的に排出できない場合には、生産と排出のバランスが崩れて、腸の中にガスが溜まってしまいます。
体内に入るガスが多い
例えば炭酸飲料を飲んだ時などは、身体の中にガスが多く入ります。
げっぷも出やすくなりますが、水分に含まれたガスのすべてはげっぷでは排出されず、身体の中に取り込まれていきます。
ですから炭酸飲料を多く飲む方は、ガス溜まりを起こしやすいと言えるでしょう。
また先程の項でもご説明した通り、食事の際などによくおしゃべりをするという方は、体内に入るガスも多くなります。
空気を多く飲み込むことは「空気嚥下症(くうきえんげしょう)」「呑気症(どんきしょう)」と呼ばれています。
・ガス溜まり
・げっぷ
・胸焼け
・上腹部痛
・腹部膨満感
緊張した時や不安な時などに、意識せずに唾を飲み込む方もいると思いますが、そのような時には空気も一緒に飲み込んでいるので、身体の中にガスが溜まる原因となります。
体内で発生するガスが増える
身体の中で発生するガスが増える原因となるものは、ほとんどが便秘であると言えます。
便が排出されずに腸の中に長く留まると、腸の中の環境はどんどん悪くなり、それによって悪玉菌が増え有害なガスを発生させます。
また刺激物を多く摂り過ぎたり、強いストレスがかかったりした場合もガスは増える傾向にあります。腸の中で炎症が起きている場合には、強い痛みを感じる事もあります。
排出するガスが減る
通常の場合であれば、腸の蠕動運動によって便やガスは肛門まで運ばれて排出されます。
ですからその蠕動運動の働きが上手くいっていないと、ガスが排出できなくなってしまうのです。
他にはありますか?
・長時間同じ姿勢で座る
・締め付けがきつい服や下着
また女性の場合ホルモンのバランスによって、腸の働きが弱まることもあります。
ガスが原因の腹痛
腹痛の種類
ガスが溜まって膨らんだ腸は、筋肉のみならずまわりの臓器も刺激します。
その小さな刺激が痛みとなって現れてくるのです。
ガス溜まりに伴う他の症状
- 便秘
- 下痢
- 頭痛
- 嘔吐
- めまい
- 肩こり
- 吹き出物
- 自律神経の乱れ
- 頻繁なおなら
第二の脳とも言われている腸は、自律神経の働きと密接な関係があります。
ですから腸の中の環境が悪化すると自律神経は乱れ、そして全身の症状へとつながります。
ガス溜まりを放置すると
- 横隔膜が押し上げられる事によって、呼吸機能の低下
- 静脈の流れが阻害される事によって、心臓や腎臓の機能低下
- 腸内壁の血管が圧迫される事によって、血行障害
- 腸内環境が悪化し有害ガスが発生し、血中から全身に巡る
このように、ガス溜まりは身体全体の機能を低下させてしまう事がありますので、決して軽視してよいものではありません。
決してガス溜まりを軽く見ないようにします。
病院に行くべきケース
またお腹の張りに加えて、次のような症状が現れた時には早急に病院へ行ってください。
- 嘔吐
- 発熱
- 冷や汗
- 激しい腹痛
- 顔面蒼白
- 血便
これらの症状には腸閉塞や大腸がんといった、重篤な病気が隠れていることもあります。
病院に行けば問診や検査を経て、適切な治療が行われます。
ガス溜まりで考えられる病気
過敏性腸症候群
緊張した時やストレスがかかった時に現れる腸の症状です。
症状の出方は、ガス型・便秘型・下痢型に分かれます。
胃潰瘍
胃の粘膜がダメージを受けて潰瘍になり、穴が開いたり組織の一部が無くなったりしてしまいます。
ピロリ菌や非ステロイド性抗炎症薬などが原因と言われています。
お腹に刺すような強い痛みを感じます。
胃酸を分泌する機能が低下して、食べ物を消化できなくなります。
その結果腸に負担が掛かり、腸の中の環境も悪化しガスが発生します。
十二指腸潰瘍
胃液に含まれているペプシンと言う塩酸が十二指腸にダメージを与えて発症します。
胃酸が多く分泌されてしまい、みぞおちもキリキリと痛みます。
さらに症状が悪化すると吐血する事もあります。
強い自覚症状は感じにくく、吐血してはじめて十二指腸潰瘍だとわかるという方もいます。
大腸がん
食欲がなくお腹の張りが続く、またおならが非常にきつい臭いだったりする時には注意が必要です。
また血便が出た時も要注意と言えます。
大腸がんの初期症状には、お腹にガスが溜まる事があります。
ガス溜まりだと思って放置していると、病気が進行してしまう事もありますので、気になることがあれば、早めに病院を受診しましょう。
腸閉塞
何らかの原因によって、腸の一部が狭くなったり詰まったりしてしまう病気です。
便秘で腸の働きが弱まり、そのせいで便がたまって腸閉塞になることもありますが、その他に大腸ポリープや大腸がんなどによっても引き起こされる可能性があります。
下腹部が張って激しい腹痛や嘔吐がある、また冷や汗をかいたり脈が弱くなるなどの症状が考えられます。
ショック状態にもなりかねないので注意が必要です。
特に60歳以上の方の急性腹症の原因は、腸閉塞が最も多くなっています。
ガス溜まりによる腹痛のセルフケア
腸内環境を整える
・食事の見直し
・十分な睡眠
・適度な運動
・便秘の解消
これらを心掛けましょう。
食事
腸の中の環境は一朝一夕では改善できません。
毎日の食事に発酵食品を取り入れて、少しでも腸に善玉菌が増えるようにしましょう。
ヨーグルトや納豆・キムチ・味噌などは簡単に食事に取り入れられると思います。
悪玉菌を減らすためには、動物性のたんぱく質をなるべく控えるようにして、食物繊維を多く摂るようにしましょう。
冷たい飲み物ばかり飲まないという事も大切です。
カフェインやアルコールも過剰摂取はよくありません。
ホットミルクは胃の粘膜も保護してくれますのでおすすめです。
睡眠
睡眠を取る事で、身体が休まるだけではなく、傷ついた組織や細胞を修復したり回復したりします。
夜22時から2時までの間、睡眠中に脳内でセロトニンが分泌されると言われ、いわゆる睡眠のゴールデンタイムと呼ばれる時間になっています。
できるだけこの時間は寝ているようにしましょう。
良質な睡眠は心身の健康にとても大切なものです。
適度な運動
腸の蠕動運動が弱まって便秘になっている方には、適度な運動は特におすすめです。
腹筋が弱くなると、蠕動運動も弱まってしまい、お腹にガスが溜まりやすくなります。
ランニングやジョギングなどの有酸素運動が最適ですが、時間がなかったり外に出られない場合には、家や職場でストレッチで身体を動かすだけでも効果はあります。
定期的に身体を動かす習慣もつけると、腸は活発に動き出しガスも溜まりにくいでしょう。
便秘の解消
これらの対策はガス溜まりの原因が便秘にある方にも有効です。
食事や睡眠・運動など、生活習慣を見直す事によって、便秘も解消できるはずです。
便秘を解消するのに、下剤を使用するのはあまりおすすめしません。
強制的に腸を動かして便を排出させるので即効性はありますが、下剤を飲んでいると腸の本来の働きができなくなり、いずれ下剤なしでは排便できなくなってしまう事もあります。
次のような事項を心掛け、便秘を根本的に治すように努めましょう。
- お腹を冷やさない
- 動物性たんぱく質が多い食事は控える
- 適度に油を摂る
ガス抜きに効果的なマッサージ等をご紹介
「の」の字マッサージ
- 仰向けに横になる
- 2本指で下腹部を軽く押しながら「の」の字を書く
- 1分程度続ける。手を温めてやるとより効果的
だるまのポーズ
- 仰向けに横になる
- 胸の前に両膝を抱え込んでそのままの体勢を維持
- ガスが腸内を移動
猫のポーズ
- 四つん這いになる
- 猫が伸びをするイメージで上体を伏せる
- お尻を突き上げたまま身体の力を抜く
ツボを刺激
- 背中の緊張を取ります
- 背骨の第11胸椎から指2本分外側に脾兪(ひゆ)というツボがあります
- 背骨上骨盤の上の端と同じ高さから指2本分外側に大腸兪(だいちょうゆ)というツボがあります
- 両手の親指で脾兪と大腸兪を少し強めに押し込む
生活習慣に気を付ける
ガス溜まりを予防するのに1番重要なことは、ストレスを溜め過ぎないことです。
また食事を落ち着いてゆっくり食べるようにしましょう。
暴飲暴食を避け、よく噛んで食べましょう。
お菓子などの間食を摂り過ぎるのも良くありません。
食事と食事の間にも、常に食べ物を食べているようだと、消化液が過剰に出てしまう事で炎症が起こる可能性があります。
それによって胃の消化機能が弱まれば、腸にももちろん影響が及んでしまいますので、注意して下さい。
ガス溜まりによる腹痛に関するよくある質問
ご確認下さい。
ヨーグルト以外に善玉菌を増やす食べ物はありますか?
オリゴ糖はスーパーなどで液状や粉末で販売しています。
お料理や飲み物の甘味料として使うといいでしょう。
ただし摂り過ぎるとお腹を壊す事があるので注意して下さい。
便秘ではないのにおならが臭いです。どうしてですか?
どうしてですか?
悪玉菌は動物性たんぱく質をエサに増加して、有害なガスを発生させます。
このガスが臭いのです。
野菜や魚が中心の食生活を心掛けることによって、改善が期待できます。
もしもそれでも改善されないような場合には、何かの病気が隠れている可能性もありますから、病院を受診しましょう。
お腹の中でボコボコという鈍い音が聞こえますがこれは何ですか?
腸の中にはくぼみのようになっている場所があって、水分がそこに溜まりやすくなっています。
腸の中の便やガスがそこの部分に逆流して、ボコボコと言う鈍い音がする事がありますが、基本的に心配はいりません。
ただしどうしても気になるのであれば、一度医療機関を受診してみてはいかがでしょうか。
便秘を改善したくて食物繊維を摂取しても、お腹の張りが解消しません。どうしてですか?
どうしてですか?
食物繊維でもマメやイモ類などは不溶性のため、ガスが沢山発生します。
お腹が張っているような時には、ガスを排出する機能が弱まっていると考えられるので、山芋やオクラなどの水溶性の食物繊維を多めに摂るようにしましょう。
どうして下剤は飲まない方がいいのですか?
ですから便秘の体質そのものを改善する事を心掛けましょう。
まとめ
ガス溜まりと便秘や腹痛などの関係についてご説明してきましたが、いかがだったでしょうか。
ガス溜まりを解消したいと思うのであれば、毎日の生活習慣を見直すのが1番の対策です。
こちらの記事を参考になさって、根気強く生活の改善を目指し、ガス溜まりを解消して下さい。