慢性的に便秘でお困りの方は、常にお腹がスッキリしないとか、お腹がポッコリして太って見えるなどのお悩みをお持ちではないでしょうか。
もしかしたら、そのような症状にも慣れてしまい、何も感じなくなっている方もいるかもしれません。
しかし便秘の状態というのは、身体の中に本来は排出すべき老廃物を溜め込んでいる状態です。
ただ、身体への影響が心配です。
どんな影響があるんですか?
こちらでは便秘が身体に及ぼす影響について、詳しく見ていきたいと思います。
便秘は身体に悪影響
ではどのように身体に良くないのか、具体的に解説していきますね。
便秘は万病の元である
それはなぜかと言うと、腸の中の環境は身体全体に影響を及ぼすためです。
便秘で腸に便がたまっていると、時間の経過とともに腐敗して身体に有害な硫化水素などのガスを発生させます。
このガスは水に溶けやすく、腸壁から血管内に吸収されて血液に溶け込み全身を巡回します。
血流も悪くなりますし、血液自体が汚れている事によって、疲労感も感じやすくなります。
血管が詰まれば、脳や心臓に重篤な症状が出るといった可能性もあります。
また有害なガスで腸の粘膜は刺激され、大腸がんになるリスクも上ります。
消化機能の低下
便秘になる事で、腸の機能は著しく低下する事になります。
腸の中には便だけでなくガスもたまって行き、胃も圧迫するので食欲が出ないという事もあります。
また胃で消化された食べ物が腸に流れて行こうとしても、便が溜まっているので滞り、それ以上食べたり消化したりする事ができなくなります。
免疫力の低下
便秘になると腸の中では有害なガスが発生し、悪玉菌が増加します。
腸には身体を守る免疫機能が多く備わっていますが、悪玉菌が増えることでその免疫力が低下してしまいます。
そうなると身体は様々なウィルスや菌に侵される危険性が高まってしまいます。
血流の低下
便秘になる事で腸の中に身体に有害なガスが作られ続け、それらのガスが腸壁を通して血液の中に入りこむ事で、血流が滞ります。
便秘が慢性化すれば、身体は常に血流が低下している状態になるという事です。
自律神経の乱れ
慢性の便秘で悩んでいる方の中には、自律神経のバランスが乱れている方が多いようです。
ストレスが過度にかかったりするなどの理由で、自立神経のバランスが崩れて交感神経が常に優位にて立つような状態になると、副交感神経がコントロールしている腸の機能は低下してしまいます。
その結果便秘になりやすくなります。
体臭・口臭
慢性の便秘になると、体臭や口臭が気になることもあります。
それは腸の中でできた有害なガスが血液に溶け込んで全身をまわり、口や毛穴から放出されるからです。
便秘が引き起こす症状
さらに慢性的な場合は、それらの症状はなかなか治まらないでしょう。
では便秘でどのような症状が引き起こされるのか、具体的に見て行きましょう。
腹痛
便秘によって起こる最も直接的な症状は腹痛です。
身体の中は空気が移動するだけでも痛みを感じるというほど、デリケートにできています。
腸に溜まった便やガスが行き場なく周囲を圧迫すると、激しい痛みが発生します。
基本的に排便によってその痛みは解消されますが、慢性の便秘であればあるほど、その痛みは強いものになりがちです。
肌トラブル
便秘によって腸の中で生成された有害物質は、血液に乗って全身を巡り、それが肌を通して外に排出されます。
すると肌は有害物質を放出する事で精一杯になってしまい、通常の肌の状態を保つという作業が行えなくなってしまうのです。
それによってお肌のターンオーバーは乱れ、肌荒れが起きたり吹き出物が出来たりという肌トラブルが起こります。
お腹の張り
便秘になった影響で身体の消化機能が低下して、お腹も張ってしまう事があります。
腸の中に便やガスが溜まる事によってお腹が張り、それらが胃や腸を圧迫することで食欲も低下します。
また腸の中では善玉菌と悪玉菌のバランスが乱れ、脂質などをうまく分解することができなくなり、身体に必要な栄養を十分に吸収できなくなってしまいます。
だるさや疲労感
慢性の便秘になると、常に疲労感を感じていたり、全身がだるくなる事も多くなります。
腸は第二の脳とも言われているほど、脳と直結しています。
腸の調子が乱れると、脳は疲労感を感じるようにできているのです。
また全身に有害物質が運ばれることで、血流が悪くなるのも疲労感の原因です。
肩こりや腰痛
慢性の便秘になった事で、肩こりや腰痛を発症するケースもあります。
便秘によって膨らんだ腸が周りの神経を圧迫して腰痛を引き起こします。
また前述のような有害物質による血流の低下によって、腰痛や肩こりになりやすくなるという事もあります。
痔
慢性の便秘になると、痔を発症してしまう事もあります。
排便の時に強くいきみ肛門の周りがうっ血してコブが出来るのが「イボ痔」です。
また硬い便を押し出そうとして肛門が切れてしまうのが「切れ痔」で、肛門の付近に細菌が入り化膿して激しい痛みを伴うのが「痔ろう」です。
慢性の便秘と怖い病気
大腸メラノーシス
慢性的な便秘で悩んでいる方の中には、下剤を使って解消している方も多いのではないでしょうか。
しかし実はその下剤が原因となって「大腸メラノーシス」という病気になってしまう事があります。
あまり聞き慣れない病名ですが、この病気になると腸の中の粘膜が黒いヒョウ柄のような状態になり、色素が変異し細胞も硬化します。
そして腸の機能が低下し、大腸がんになるリスクが高まります。
大腸メラノーシスは、センナや大黄・アロエなどアントラキニン系の下剤を、長い期間飲み続けると発症します。
特別な治療法はないので、下剤の服用を中止して時間が経過するのを待つしかありません。
およそ半年から2年ほどで腸が本来の機能を取り戻すと言われています。
糖尿病
慢性の便秘状態だと、糖尿病になるリスクも高くなります。
重症化することで、腎不全や失明の危険もある糖尿病は、血糖値が上がり過ぎる事によって発症します。
本来すい臓が作るインシュリンや肝臓機能によって血糖値の上昇は抑制されます。
しかし便秘の影響で有害ガスが全身をめぐって内臓の働きを阻害してしまう事によって、血糖値のコントロールができなくなり、糖尿病になってしまう可能性があるのです。
腸閉塞
慢性の便秘になると、腸閉塞になる危険性もあります。
腸閉塞とは腸がねじれたりして塞がってしまう病気で、激しい腹痛や吐き気を伴い、腸が壊死してしまう可能性もあります。
慢性の便秘によって排泄されない便が腸に溜まり続けると、やがて腸を塞いでしまい腸閉塞になってしまう事もあるのです。
排便が10日以上ないなどの状態になる前に、便秘を自力で解消できないようであれば医療機関を受診して医師に相談するようにして下さい。
大腸がん
大腸がんは血便や粘液便などの症状があります。
発見や治療が遅れると、最悪死に至る怖い病気です。
特に原因もないのに今までと排便のサイクルが変わってきたり、便秘と下痢を繰り返すといったような症状がある場合には、安心のためにも早めに医療機関を受診するようにしましょう。
過敏性腸症候群
現在日本人に多いとされているのが、過敏性腸症候群です。
この病気は身体には異常がないものの、便秘や下痢の症状が繰り返し出てしまうのです。
ストレスなどの精神状態が影響していると考えられていますが、確かな治療法は確立されてしません。
慢性の便秘が、この過敏性腸症候群から来ている可能性もあります。
妊娠中の便秘
妊婦の方の便秘とその影響や解消法について解説していきます。
原因
妊娠中は女性ホルモンの影響で、流産を防ぐために子宮収縮が抑えられますが、同時に腸の働きも抑制させるため、便秘になりやすい状態です。
また大きくなった子宮が腸を圧迫するというのも、便秘になりやすい一因と言えるでしょう。
つわりなどで食欲が低下すると、食べる物の量が減って消化機能が低下するのも原因の一つです。
妊娠中の影響
妊娠中に母体が慢性の便秘であったとしても、赤ちゃんの発育には大きく影響はないと言われています。
ただし母親の腸内環境は赤ちゃんに引き継がれるため、母体の腸に悪玉菌が多い状態だと、生まれた赤ちゃんが便秘や下痢になりやすかったり、免疫力が低くなったりということは考えられます。
授乳時の影響
赤ちゃんが生まれて授乳時にお母さんが慢性の便秘であったとしても、授乳には大きな影響はないとされています。
しかし母乳はお母さんの血液からできていますので、血液が汚れている状態はあまりよいとは言えないでしょう。
母乳を作るのに身体の中の水分が沢山使われますので、授乳時は便秘になりやすいと言えます。
また赤ちゃんの面倒を見るのが忙しく、トイレになかなか行けないというのも便秘になる原因です。
注意点
慢性の便秘に悩んでいるお母さんは、意識して食物繊維や水分を多く摂取するようにしましょう。
また便意を感じた時には、ちょっと赤ちゃんに待っていてもらい、なるべくすぐにトイレに行くようにしましょう。
妊娠中であれば、かかりつけの産婦人科医に相談し、妊婦でも飲める便秘薬を処方してもらうのも1つの解決方法です。
便秘の影響を受けないために
便秘になってしまったら、それを慢性化させないためにも、食生活や生活習慣を見直すようにしましょう。
ストレスの多い生活を送っている方は、なるべく発散する方法を見つけストレスをためないようにする事も大切です。
お腹を冷やすことも便秘に原因になります。
冬はカイロなどで温めたり、夏でも冷たい飲み物ばかりを飲まないように気を付けるなど、なるべくお腹を冷やさないようにしましょう。
寝る前にお腹をマッサージするのも、便秘の予防につながります。
便秘に関するよくある質問
参考にして下さい。
ダイエット中の便秘の対処法はありますか?
ダイエットによって絶食したり、極端に食べる量を減らすというのは良くありません。
食べなければ腸の働きは低下して便秘になります。
米などの主食を抜くと、食物繊維の摂取量が減ってしまうのです。
また油分を摂らないのも、便秘になる原因となります。
もちろん摂り過ぎは良くありませんが、適度の油は腸の中で便の滑りを良くする、まさに潤滑油の働きをします。
妊娠中の便秘は何科を受診すればいいですか?
妊娠中は様々な原因によって便秘になりやすい状態です。
産婦人科では妊婦さんでも飲める便秘薬を処方してくれますので安心です。
便秘で食欲がないのですが無理して食べた方がいいですか?
食事を抜くのはあまりおすすめはできませんが、どうしても食べられないようであれば、栄養のあるサプリメントやゼリー飲料などで、一時的に栄養補給するといいかもしれません。
食物繊維を多く摂っても便秘が解消しないのはどうしてですか?
食物繊維にも水溶性と不溶性のふたつの種類があるので、その両方をバランスよく摂取する必要があります。
また水分をこまめにとるようにすることも大切です。
おすすめの便秘薬はありますか?
一時的に便は排出できますが、便秘の根本的な改善にはならず、飲み続けていると便秘薬を飲まなくては排便できなくなってしまう可能性もあります。
飲むのであれば便秘の体質そのものを改善する事が期待できる、サプリメントを選ぶ方が良いでしょう。
まとめ
便秘というとよくある体調不良と軽視される傾向にありますが、慢性化すれば思わぬ病気を引き起こす原因にもなり兼ねません。
日頃から便秘になりにくい生活習慣や食生活を心掛け、慢性の便秘にならないように気を付けましょう。
何か心配な症状などがある場合には、早めに医療機関を受診するようにして下さい。